RCIとは?

RCIは「Rank Correlation Index」の略称で、日本語では「順位相関指数」と呼ばれます。
価格そのものを計算対象とせずに「時間」と「価格」それぞれに順位を割り当て、両者にどれだけの相関関係があるのかを指標化したものです。
たとえば、RCIのパラメーターを9日間に設定した場合、9日間すべて上昇していれば+100%、逆に9日間すべて下落していれば-100%という数値になります。
RCIは、+100%~-100%の範囲内で数値が推移し、その位置によって相場の過熱感を読み取ることができます。
一般的には、RCIが+80%以上の水準にあると「買われすぎ」、-80%以下であれば「売られすぎ」と判断されます。

RCIの算出方法
日足チャートを例に、RCIの算出方法を解説します。
RCIを算出するための手順として、まず最初に日付と価格に対して順位付けを行います。
日付については、直近の日付を「1」とし、その前日を「2」、さらにその前々日を「3」…といった具合に順位をつけます。
一方、価格については、その期間内の終値が高い順に順位を決めていきます。
日付 | 価格 | 日付の順位 | 価格の順位 |
9月1日 | 100円 | 5 | 5 |
9月2日 | 101円 | 4 | 4 |
9月3日 | 102円 | 3 | 3 |
9月4日 | 103円 | 2 | 2 |
9月5日 | 104円 | 1 | 1 |
次に下記の計算式でRCIを求めます。
d:日付の順位と価格の順位の差を2乗して合計した値
n:期間

期間中の価格が一貫して上昇している場合、下記の通りd=0となり、n=5とともに式に代入して計算するとRCIは+100%となります。
日付 | 価格 | 日付の順位 | 価格の順位 | ① 日付の順位と価格の順位の差の2乗 | ①の合計(d) |
9月1日 | 100円 | 5 | 5 | (5-5)×(5-5)=0 | 0 |
9月2日 | 101円 | 4 | 4 | (4-4)×(4-4)=0 | |
9月3日 | 102円 | 3 | 3 | (3-3)×(3-3)=0 | |
9月4日 | 103円 | 2 | 2 | (2-2)×(2-2)=0 | |
9月5日 | 104円 | 1 | 1 | (1-1)×(1-1)=0 |
反対に期間中の価格が一貫して下落している場合は下記のようになり、計算するとRCIは-100%となります。
日付 | 価格 | 日付の順位 | 価格の順位 | ① 日付の順位と価格の順位の差の2乗 | ①の合計(d) |
9月1日 | 104円 | 5 | 1 | (5-1)×(5-1)=16 | 40 |
9月2日 | 103円 | 4 | 2 | (4-2)×(4-2)=4 | |
9月3日 | 102円 | 3 | 3 | (3-3)×(3-3)=0 | |
9月4日 | 101円 | 2 | 4 | (2-4)×(2-4)=4 | |
9月5日 | 100円 | 1 | 5 | (1-5)×(1-5)=16 |
RCIの期間設定(パラメーター)
RCIの期間設定に明確な決まりはありませんが、一般的なものは下記の表のようになります。
短期 | 9 |
中期 | 26 |
長期 | 52 |
多くのトレーダーが同じ設定値でRCIを使用しているということは、その値に基づく売買サインに反応して売りや買いの動きが集中しやすいということです。
相場は、買い注文が多ければ上昇し、売り注文が多ければ下落するため、多くの人が参考にしている設定値のRCIを見ることは、相場の方向性を読むうえで非常に有効です。
特にこだわりがない場合、上記の設定で試してみることをおすすめします。
RCIの使い方
RCIは、一般的に+80%を超えると「買われすぎ」、-80%を下回ると「売られすぎ」と判断され、次のような形で活用されます。
買いサイン・売りサイン
- RCIが-80%以下まで下落した後、下向き(または横向き)から上向きに転じ、-80%を上回ったら買いサインと判断します。
- RCIが+80%以上まで上昇した後、上向き(または横向き)から下向きに転じ、+80%を下回ったら売りサインと判断します。

RCIの短期・中期・長期の3本のラインを使ったトレード手法
買いサイン
長期線(52)が+80%付近に張り付いている状態で、短期線(9)と中期線(26)が下落すると上昇トレンド中の押し目形成となり、その後短期線(9)が中期線(26)を下から上に抜ける「ゴールデンクロス」が発生したとき、買いサインと判断します。

売りサイン
長期線(52)が-80%付近に張り付いている状態で、短期線(9)と中期線(26)が上昇すると下降トレンド中の戻し形成となり、その後短期線(9)が中期線(26)を上から下に抜ける「デッドクロス」が発生したとき、売りサインと判断します。

RCIのデメリット
RCIは、強いトレンドが発生すると+100%や-100%付近に張り付いて、売買サインが機能しにくくなるデメリットがあります。
強いトレンドが発生しているときに、RCIが「買われすぎ」「売られすぎ」の水準にあるからといって安易に逆張りのポジションを持つと、RCIの売買サインが「ダマシ」となって損失が発生する可能性があります。

RCIと他のテクニカル指標を組み合わせたトレード手法
RCIのデメリットをカバーするために、他のテクニカル指標を組み合わせるトレード手法があります。
RCIとボリンジャーバンドを組み合わせたトレード手法
RCIにボリンジャーバンドを組み合わせることで、トレードの精度を高めやすくなります。
ボリンジャーバンドは、単純移動平均線とその上下に配置されたバンドによって、価格の方向性や変動の大きさを視覚的に把握できるテクニカル指標です。
ボリンジャーバンドのバンド幅が拡大していく状態を「エクスパンション」といい、トレンド発生時やトレンド継続中によくみられる形といえます。
反対に、バンド幅が狭い状態を「スクイーズ」といい、レンジ相場で発生する傾向があります。
RCIとボリンジャーバンドを組み合わせる方法としては、まずボリンジャーバンドで現在の相場状況がレンジなのか強いトレンドが発生しているのかを判断します。
ボリンジャーバンドが「エクスパンション」のときは、強いトレンドが発生している可能性があるので、RCIを使った取引を控えることで、RCIの売買サインによる「ダマシ」を避けることができます。
反対に、ボリンジャーバンドが「スクイーズ」のときは、レンジ相場の可能性があるので、RCIの売買サインの信頼性は比較的高いと考えられ、売買サインが発生したときにポジションを持つことで利益を得やすくなるといえます。

RCIとRSIの違い
RCIとよく似たテクニカル指標として、RSIが挙げられます。
どちらも「買われすぎ」や「売られすぎ」といった相場の過熱感を示す点で共通しており、動きにも類似性がありますが、いくつかの違いも存在します。
RSIは主に逆張りに使われるオシレーター系指標であるのに対し、RCIはオシレーター系とトレンド系の両方の特徴を持ち、順張り・逆張りのいずれにも活用できるのが特徴です。
さらに、RSIは価格の変動幅を指標に反映するのに対し、RCIではその点が考慮されないため、相場が急激に上昇・下落した場合の反応が鈍くなるというデメリットがあります。
その反面、小刻みに上下するRSIに比べ、滑らかに動くRCIは、相場の方向性をとらえやすいというメリットもあります。

RCIまとめ
RCIは、オシレーター系とトレンド系の両方の特徴を持ち、順張り・逆張りのいずれにも活用できるため、相場分析をするうえで有効な手段といえますが、絶対ではないため過信は禁物です。
そのため、RCIを使った売買を行う場合は、損切り基準に達した時点でしっかりと損切りするようにしましょう。
また、誤った判断を避けるためには、他のテクニカル指標やファンダメンタルズ分析を併用し、複数の条件を照らし合わせながら総合的に判断することが大切です。

RCIは、短・中・長期の3本のラインを使うトレード手法が結構おすすめやで!