レンジ戦略とは?
レンジ戦略とは、価格が一定の範囲内を上下に動く「レンジ相場」を利用したトレード手法です。
上値(レジスタンスライン)と下値(サポートライン)の間で反発を繰り返す特徴を活かし、以下のトレードを行います。
- 下値(サポートライン)付近でロング
- 上値(レジスタンスライン)付近でショート
トレンド相場ではトレンド方法への「順張り」が有効ですが、レンジ相場ではレンジ上下限付近での「逆張り」が有効になります。
なおレンジ戦略は、完全に横ばいのボックス型レンジでなくとも、保ち合い型のチャートパターン(三角保ち合い、ペナント、フラッグ、ウェッジ など)にも応用的に使うことは可能です。
レンジ戦略が向いている時間帯・通貨ペア・トレードスタイル
レンジ戦略を行う上では、相場にトレンドが発生していないことが条件になります。
そのため、レンジ戦略に向いている時間帯・通貨ペア・トレードスタイルを知っておく必要があるので確認していきましょう。
レンジ戦略が向いている時間帯
スキャルピングやデイトレードといった短期のトレードスタイルでレンジ戦略を行う場合、比較的流動性が低く、相場が落ち着いている時間帯が向いています。
- 東京市場の10:00~15:30
午前10時以降の東京市場、特に東京株式市場の前場終了(11:30)から後場終了(15:30)までの間は相場が落ち着きやすいため、レンジ戦略向きといえます。
注意点として、東京株式市場の始まる午前9時から仲値が決定する午前9時55分の前後の時間帯は、ドル円をはじめとした為替市場の値動きが大きくなりやすいため、レンジ戦略にはあまり向いていません。
また、ロンドン市場が始まる約1時間前から、いわゆる「アーリーロンドン」と呼ばれる時間帯に取引を始める参加者もおり、欧州の夏時間の期間中は、東京市場の終了付近と重なるため、値動きが大きくなることがあります。
そのため、欧州勢の動きが出そうな日の15時以降にレンジ戦略を行う場合は注意が必要です。 - ロンドン市場の19:00~21:00
19時を過ぎるとロンドン市場の参加者が昼休みに入り、そこからニューヨーク勢が参入する21時までの時間帯は、値動きが落ち着きやすい傾向にあります。
そのため、この時間帯のレンジ戦略は有効といえます。
レンジ戦略が向いている通貨ペア
レンジ戦略が向いている通貨ペアは、トレードスタイル(スキャルピング、デイトレード、スイングトレード など)ごとに違います。
- スキャルピング、デイトレード向き通貨ペア(短期売買向き)
米ドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、豪ドル/円 など
【条件】
① 時間帯や通貨強弱、相場状況などを考慮し、ボラティリティが低めの時
② 短期売買で小さい値幅を狙うので、スプレッドが狭いことも条件 - スイングトレード向き通貨ペア
豪ドル/NZドル、ユーロ/ポンド、ユーロ/スイスフラン、米ドル/カナダドル など
【条件】
① 上記のような同地域内通貨ペアは、景気動向や政策が似通っていることが多く、レンジ相場になる傾向がある
② スイングトレードは狙う値幅が比較的大きので、多少のスプレッドは許容できる
③ 日またぎするので、スワップポイントにも注意を払う必要がある
④ 同地域内通貨ペアだとしても、流動性が低すぎるマイナー通貨ペアは、避けるべき(急な値動きなどの危険性があるため)
レンジ戦略が向いているトレードスタイル
上記でも触れてきましたが、改めてレンジ戦略に向いているトレードスタイルも確認しておきましょう。
- スキャルピング、デイトレード
時間帯:東京市場の10:00~15:30、ロンドン市場の19:00~21:00 など
通貨ペア:米ドル/円、ユーロ/ドル、ユーロ/円、豪ドル/円など - スイングトレード
通貨ペア:豪ドル/NZドル、ユーロ/ポンド、ユーロ/スイスフラン、米ドル/カナダドル など
レンジ戦略のメリット・デメリット
レンジ戦略におけるメリット・デメリットを把握しておくことは非常に重要です。
【メリット】
- 損切り幅を小さく設定できる
- 安定的にコツコツと利益を上げやすい
- 売買基準がシンプルなため、初心者でも取り組みやすい
【デメリット】
- 価格の変動幅が限定されるため、大きな利益を狙いにくい
- 「ダマシ」が多く、対策をとる必要がある(詳しくは後述します)
- レンジブレイクに弱く、見極めが難しい
- 基本レンジ相場での戦略のため、トレード機会が限定される
レンジ戦略で意識すべきこと
レンジ戦略はシンプルで再現性の高い手法ですが、ただ「レンジ上下限で逆張りする」だけでは不十分です。
レンジ相場を攻略するために、特に以下の点を意識する必要があります。
① ダマシのブレイクに注意
レンジ相場では、価格が一時的に上下限を抜け、再度レンジ内に戻す「ダマシ」が発生するため、対策が必要です。
「ダマシ」の対策には、以下のようなものがあります。
- 終値ベースでブレイクを判断する
一時的に上下限をブレイクしても、終値ではレンジ内に戻り「ダマシ」となるケースが多々あります。
そのため、終値確定まで「本物のブレイク」か「ダマシ」か の判断を待つことも一つの手です。
ただし、終値確定まで待っていると損失拡大の可能性もあるため、他のダマシ対策と合わせて判断する必要があります。 - 時間帯とその市場の特徴で判断する
流動性が低くトレンドの出づらい時間帯・市場でのブレイクは、ダマシになりやすい傾向があります。 - 通貨強弱差で判断する
・通貨強弱差の大きな通貨ペアは、トレンドが出やすく、ブレイクは本物の可能性があります。
・通貨強弱差の小さな通貨ペアは、レンジになりやすい傾向があるため、一時的なブレイクは「ダマシ」になりやすいといえます。 - 短期足の状態で判断する
メインで使う時間足よりも短期の時間足でチャート形状やプライスアクションを確認し、精度を高めることでダマシを防ぐのも一つの方法です。
② 時間帯やその市場の特徴を意識する
レンジ戦略は、時間帯やその市場の特徴によって効きやすさが変わります。
- ウェリントン・シドニー市場
・流動性が低く大きな値動きは出づらい一方で、急な相場変動には注意が必要。
・レンジ戦略は状況を見ながら有効。 - 東京市場
・9時~10時前後は値動きが活発で、レンジ戦略向きではない。
・上記時間帯以外は、比較的値動きが緩やかでレンジ戦略向き。 - ロンドン市場
・17時~19時(標準時間)は値動きが活発で、レンジ戦略向きではない。
・19時~21時は、比較的値動きが緩やかでレンジ戦略向き。 - NY市場
・21時~25時(標準時間)は値動きが活発で、レンジ戦略向きではない。
・NYオプションカット(標準時間 24時前後)、ロンドンフィキシング(標準時間 25時前後)の時間帯は、値動きが活発になることがあるため、レンジ戦略は注意が必要。
・25時以降は、値動きが落ち着いてくる傾向があるが、突発的な材料が入ってくることも多く、レンジ戦略は注意が必要。
③ 経済指標・要人発言・イベントを意識する
大きなイベント直前直後は、レンジブレイクが発生する可能性が高いので注意が必要です。
- 発表間近は、レンジ戦略のエントリーは控える
- これらの時間帯にレンジ戦略を行う場合は、レンジブレイクを前提としたリスク管理を徹底する
④ 通貨強弱差を意識する
レンジの出やすさは通貨の強弱関係によっても変わります。
- 通貨強弱差の大きな通貨ペアは、トレンドが出やすくレンジ戦略には不向き。
- 通貨強弱差の小さな通貨ペアは、レンジになりやすい傾向があり、レンジ戦略向き。
- トレード前にFX会社で提供されている通貨強弱チャートなどを使い、通貨強弱を把握することが重要。(通貨強弱チャートが見れない場合は、最低でも3通貨ペアを比較することで、ある程度の通貨強弱は把握できる)
⑤ 上下限は「ゾーン」で捉える
レンジの上下限ピッタリで価格で止まることは少なく、数pipsのズレが発生します。
- ダマシで刈られないように損切りは多少の余裕を持たす
損切りに余裕を持たす場合は、ポジションサイズなどの資金管理に注意を払う。 - ワンショットでポジションを建てず、ゾーン内で分割エントリーするのも一つの手
⑥ レンジブレイクに備える
レンジはいつか必ずブレイクし、トレンドに移行します。
- 上記で説明してきた内容を常に意識して、レンジブレイクを警戒しつつ、レンジ戦略を行うかどうかを判断する
- レンジからのトレンド移行局面は大きなチャンスにもなるため、レンジブレイクだと判断した場合、「レンジ戦略」から「ブレイクアウト戦略」へ思考転換することも重要
レンジ相場の見極め方
レンジ戦略の成功は、レンジ相場の見極めにかかっています。
レンジ相場を見極めていくには、以下の方法などがあります。
- 水平線:直近の高値・安値などに水平線を引き、引いた上下の水平線の間で価格が推移している場合、レンジ相場と判断できる
- 移動平均線(MA):移動平均線が横向きで、価格がその上下を行き来している場合はレンジ相場になりやすい
- ボリンジャーバンド:バンドが縮小しているスクイーズの状態はレンジ相場といえる
テクニカル手法以外にも、「材料待ち相場」ではレンジ相場になりやすい傾向があります。
水平線を使ったレンジ相場の見極め方
水平線を使ったレンジ相場の見極め方は、まず直近の高値・安値などに水平線を引いていきましょう。
そして、引いた上下の水平線の間で価格が推移している場合、レンジ相場だと判断できます。

移動平均線(MA)を使ったレンジ相場の見極め方
移動平均線(MA)を使ったレンジ相場の見極め方は、移動平均線が横向きで、価格がその上下を行き来している場合、レンジ相場の可能性があります。

ボリンジャーバンドを使ったレンジ相場の見極め方
ボリンジャーバンドを使ってレンジ相場を見極める際は、まずバンド幅の状態に注目しましょう。
バンド幅が縮小して「スクイーズ」と呼ばれる状態になっているときは、レンジ相場だと判断できます。

レンジ戦略の一連の流れ
ここからは、実際の 米ドル/円 1時間足チャート をもとに「レンジ戦略の一連の流れ」を解説していきます。
今回の例はデイトレード向きのレンジ戦略です。
1時間足でレンジを捉え、上下限の反発を狙うのが基本となります。
また、5分足や1分足といった短期足を使えば、エントリーの精度を高めることができると共に、スキャルピング的なトレードも可能になります。

上記チャートのレンジ幅は 156.664(下限)~156.960(上限)の約30pips程度となります。
チャート内の①の前の段階で、上下限の水平線を引くことができ、さらにそのレンジ内に価格が収まっているため、レンジ相場と判断できます。
このレンジの中で価格が往復している間に、どのように立ち回れるかを、チャート内の①~⑥の地点を見ながら解説していきます。
① 5:00~9:00(ウェリントン・シドニー市場 ~ 東京市場序盤)
【時間帯・市場の特徴】
- ウェリントン・シドニー市場は、流動性が低く大きな値動きは出づらい傾向がある
- 9:00は東京株式市場が始まり、値動きが大きく荒れやすいため注意が必要
【経済指標・イベント】
- この時間帯に目立った経済指標・要人発言・イベントなどはない
- そのため、経済指標やイベントによるこの時間帯の大きな値動きは発生しづらい
【通貨強弱差】
- 米ドルと円の通貨強弱差は、あまり大きくない
【トレード解説】
- エントリー
・この時間帯は流動性が低く、レンジブレイクは起きにくい
・レンジ上限の156.960付近でショートを仕掛けるチャンス - 利食い
・レンジ下限の156.664に向けた約30pips弱を狙うイメージ(途中で部分利食いもあり)
・ただし、この時間帯は「大きな値動きが出づらく利益を伸ばしづらいこと」「東京株式市場が始まると値動きが大きくなること」などの理由から、デイトレよりもスキャルをイメージして短く利食うのも一つの手 - 損切り
・レンジ上限の「156.960」かその直上のラウンドナンバーである「157.000」を上抜けた時点で損切りを行う - 結果
・①でのショートエントリーは結果として、「デイトレ目線で30pips弱」もしくは「スキャルで短く」利食えた可能性が高い
② 12:00~14:00(東京市場、昼休み ~ 午後)
【時間帯・市場の特徴】
- この時間帯は、東京株式市場の昼休み~後場の取引となるため、為替市場も値動きが小さく方向感が出づらい傾向がある
- こうした時間帯の「レンジ戦略」は有効
【経済指標・イベント】
- この時間帯に目立った経済指標・要人発言・イベントなどはない
- そのため、経済指標やイベントによるこの時間帯の大きな値動きは発生しづらい
【通貨強弱差】
- 米ドルと円の通貨強弱差は、あまり大きくない
【トレード解説】
- エントリー
・レンジ下限の156.664付近でロングを仕掛けるチャンス
・一時的にレンジ下限を下抜けているが、以下の理由からロングエントリーを仕掛けられた可能性は比較的高い
・この時間帯は大きなトレンドは発生しづらい
・ここに来るまでに1時間足で陰線が3本連続しており、この時間帯にさらなる円買い・ドル売りが続くかは疑問
・1時間足より短期の時間足でタイミングを計れば、よりエントリーしやすい - 利食い
・レンジ上限の156.960に向けた約30pips弱を狙うイメージ(途中で部分利食いもあり)
・ただし、この時間帯は「大きな値動きが出づらく利益を伸ばしづらい」などの理由から、デイトレよりもスキャルをイメージして短く利食うのも一つの手 - 損切り
・レンジ下限の156.664を下抜けたら、損切りを行う
・ただし、一時的にレンジ下限を下抜けたとしても、大きなトレンドが出づらい時間帯であることも考慮し、1分足や5分足などの短期足を見て、1時間足の終値が確定するまで損切りを待てる可能性はある
・1時間足の終値ベースでレンジ下限を下抜けていたら、損切りを実行 - 結果
・②でロングエントリーできた可能性は高い
・ロングエントリーした場合、一時的なレンジ下限の下抜けで損切りを行った可能性もあれば、1時間足の終値が確定するまで損切りを待ち、損切りを回避できた可能性もある
・損切りを回避できた場合、「デイトレ目線で30pips弱」もしくは「スキャルで短く」利食えた可能性が高い
③ 17:00~20:00(ロンドン市場序盤)
【時間帯・市場の特徴】
- 欧州勢の取引によりボラティリティが高まる時間帯
- ただし、19時を過ぎると市場参加者が昼休みに入るため、値動きは落ち着く傾向がある
【経済指標・イベント】
- この時間帯に目立った経済指標・要人発言・イベントなどはない
- そのため、経済指標やイベントによるこの時間帯の大きな値動きは発生しづらい
【通貨強弱差】
- 米ドルと円の通貨強弱差は、あまり大きくない
【トレード解説】
- エントリー
・レンジ上限の156.960付近でショートを仕掛けるチャンス
・ただし、ボラティリティが高い時間帯のため、警戒は必要
・短期足やプライスアクションなどで状況を見定める必要がある - 利食い
・レンジ下限の156.664に向けた約30pips弱を狙うイメージ(途中で部分利食いもあり)
・ただし、この時間帯は「一旦含み益が出ても急に相場が反転することが多々ある」ため、デイトレよりもスキャルをイメージして短く利食うのも一つの手 - 損切り
・レンジ上限の「156.960」かその直上のラウンドナンバーである「157.000」を上抜けた時点で損切りを行う - 結果
・③でショートエントリーをしていた場合、一時的にレンジ上限は上抜けたものの、その直上の「157.000」のラウンドナンバーは上抜けなかったため、損切りしなかった可能性は高い
・結果として「デイトレ目線で30pips弱」もしくは「スキャルで短く」利食えた可能性が高い
④ 21:00~23:00(NY市場序盤)
【時間帯・市場の特徴】
- この時間帯は、欧州勢に加え米国勢も参入してくるため、為替相場の値動きが一日の中で最も活発になる
- そのため、相場にトレンドが発生する可能性もあり、「レンジ戦略」には不向きな時間帯といえる
【経済指標・イベント】
- 22:00「S&Pケースシラー住宅価格指数」などの住宅関連指標
- 22:55「カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の発言(投票権なし)」
- 23:00「米 コンファレンスボード消費者信頼感指数」
- 上記のイベントによる大きな値動きは発生しなかった
【通貨強弱差】
- 米ドルと円の通貨強弱差は、あまり大きくない
【トレード解説】
- エントリー
・この時間帯はレンジ戦略には不向きなため、エントリーを控えることも検討すべき
・エントリーするのであれば、レンジ下限の156.664でロング - 利食い
・レンジ上限の156.960に向けた約30pips弱を狙うイメージ(途中で部分利食いもあり)
・経済指標や要人発言の時間を避けながら、スキャルで短く利食いするのも一つの手 - 損切り
・レンジ下限の156.664を下抜けたら、損切りを行う
・大きな値動きが発生する時間帯のため、一時的なレンジ下限下抜けでも、できるだけ早く損切りを行った方が無難(短期足も見て損切りタイミングを検討)
・レンジ下限を下抜け後、一時間足の終値確定まで損切りを遅らせると、特にこの時間帯は損失が大きくなるリスクがある - 結果
・レンジ下限でロングエントリーしていた場合、損切りになった可能性が高い
・1時間足の終値確定まで損切りしなかった場合、結果として利食えていた可能性が高い
・結果論ではあるものの、値動きの大きい時間帯ということで、警戒しながらロングエントリーを控えていた場合、レンジ下抜け前のロングエントリーは避けられ、レンジ下抜け後、ヒゲを引いてレンジ内に戻してきたところでロングエントリーできた可能性もある。
⑤ 23:00~翌1:00(NY市場)
【時間帯・市場の特徴】
- 取引量が徐々に減少
- ニューヨークオプションカット(夏時間23時前後)やロンドンフィキシング(夏時間24時前後)の時間帯は値動きが活発になることがあるため注意が必要
【経済指標・イベント】
- 23:00「米 コンファレンスボード消費者信頼感指数」
- 23:30「ダラス連銀製造業活動指数」
- 翌0:30「米2年債入札」
- 上記のイベントによる大きな値動きは発生しなかった
【通貨強弱差】
- 米ドルと円の通貨強弱差は、あまり大きくない
【トレード解説】
- エントリー
・経済指標・イベントの時間を避けながら、上限の156.960で、短い利益幅を狙いスキャルピングを意識したショートエントリーはできる状況 - 利食い
・経済指標・イベントの時間を避けるため、スキャルピングで短い利益幅で利食い - 損切り
・レンジ上限の「156.960」かその直上のラウンドナンバーである「157.000」を上抜けた時点で損切りを行う - 結果
・⑤でのショートエントリーは、スキャルピングを意識した短い利幅狙いなら、利食いできていた可能性が高い
・デイトレを意識してレンジ下限まで利食わなかった場合、その後の上昇で損切りとなった可能性が高い
⑥ 翌2:00~翌3:00(NY市場後半)
【時間帯・市場の特徴】
- 流動性が低くなり、比較的緩やかな値動きの時間帯
- ただし、突発的な値動きには注意が必要
【経済指標・イベント】
- 翌2:00「米5年債入札」
- 翌2:05「クックFRB理事発言(投票権あり)」「デイリー・サンフランシスコ連銀総裁発言(投票権あり)」
- 上記材料により、レンジ上限の「156.960」とその直上のラウンドナンバー「157.000」を上抜け
【通貨強弱差】
- 米ドルと円の通貨強弱差は、あまり大きくない
【トレード解説】
- エントリー
・この時間帯は下記の理由から、レンジ上限「156.960」でのショートエントリーは控えるべき状況だといえる
・要人発言などの重要な経済イベントを控えている
・一つ前の翌1時台のローソク足の終値で、レンジ上限の「156.960」を若干上抜けている - 利食い
・上記理由から、基本ショートエントリーは控えるべきだが、もしエントリーした場合、スキャルピングを意識し、短い利益幅で利食いを行う - 損切り
・基本ショートエントリーは控えるべきだが、もしエントリーしていた場合は、要人発言などの影響で、レンジ上限の「156.960」とその直上のラウンドナンバー「157.000」を上抜けた時点で損切りを行う - 結果
・基本的に、レンジ上限「156.960」でのショートエントリーは控えるべき状況であった
・もしレンジ上限「156.960」でショートエントリーしていた場合、レンジ上限の「156.960」とその直上のラウンドナンバー「157.000」を上抜けたので、損切りする結果となった
①~⑥の総括
今回の①~⑥でのレンジ戦略は、レンジの上下限に引いた水平線付近で逆張りを行うことが基本でした。
また、1時間足のレンジを基本にデイトレードを行うのが有効でした。
加えて、5分足や1分足といった短期足を使えば、エントリーの精度を高めることができると共に、スキャルピング的なトレードも可能だったといえます。
さらに、「時間帯とその市場の特徴」や「経済指標・要人発言 等のイベント」、「通貨強弱差」などにも注意を払うことが重要であると確認できました。
なお、レンジ戦略のように上下限に2本の水平線を引いた状況でなくとも、目立った高値・安値に1本水平線を引けば、レンジ戦略と同様の「逆張りトレード」、さらにそこからの「ブレイクアウト戦略」を行うことが可能です。
また、今回は水平線を使ったレンジ戦略を紹介しましたが、水平線以外のテクニカル手法を使ったレンジ戦略も存在します。
例えば、「ボリンジャーバンド × ストキャスティクス」や「ボリンジャーバンド × RCI」などの手法があります。
もし興味がある方は、「ストキャスティクス」と「RCI」の記事内で紹介しているので、ぜひご覧ください。
【レンジ戦略】まとめ
レンジ戦略は、相場が明確な方向性を持たず横ばいで推移しているときに有効なアプローチです。
レンジの上下限を意識して逆張りを仕掛けることで、コツコツと利益を積み重ねることができます。
ただし、いつまでもレンジが続くわけではなく、やがてどちらかにブレイクする瞬間が訪れます。
そのため、レンジの中でのトレードと同時に、ブレイクアウトの兆候にも注意を払うことが大切です。
明確にレンジをブレイクしたと判断した場合、「レンジ戦略」から「ブレイクアウト戦略」へ思考転換することも重要になります。
相場は常に変化するものだと心得て、レンジ戦略に固執せず、環境に応じて柔軟に立ち回ることこそが、継続して利益を上げるためのカギとなります。

レンジ戦略を行うときは、ブレイクアウト戦略も意識しておくことが大切だニャ。