移動平均線

移動平均線とは?

移動平均線とは、一定期間の平均価格をつないだ線で、値動きのブレを均して相場のトレンド方向や強さをみることができるテクニカル指標です。

移動平均線の種類と計算方法

移動平均線には、単純移動平均線、指数平滑移動平均線、加重移動平均線など様々な種類があり、算出する計算方法が違います。
例を用いて、それぞれの移動平均の計算方法を解説します。

1日目2日目3日目4日目5日目
100円200円300円400円500円
※ 価格は終値

各日の終値が上の表のようになっていた場合、各移動平均線における5日移動平均の値はどうなるのか計算してみましょう。

単純移動平均線(SMA)

単純移動平均線(SMA:Simple Moving Average)は、単純に一定期間の価格の平均値を出して結んだものです。

単純移動平均線 計算式 例

指数平滑移動平均線(EMA)

指数平滑移動平均線(EMA:Exponential Moving Average)は、直近の価格に比重をかけて計算する移動平均線です。最新の価格をより強く反映するため、単純移動平均線よりも直近の値動きに敏感に反応し、トレンド転換を早めに察知しやすいとされています。
また、指数平滑移動平均線はMACDなどの他のテクニカル指標にも応用されています。

指数平滑移動平均線 計算式 例

加重移動平均(WMA)

加重移動平均(WMA:Weighted Moving Average)は、一定期間の価格に対して、新しいデータほど大きくなるように比重をかけて計算する移動平均線です。
価格の重みを過去に向けて順次小さくするので、緩やかに上昇・下降する時は威力を発揮します。しかし、乱高下や保ち合い局面では利用価値が低下します。

加重移動平均線 計算式 例

移動平均線の期間設定

移動平均線の期間設定は、多くのトレーダーが使っている期間ほど機能しやすいといえます。なぜなら相場は、より多くの投資家の心理と行動を反映して動くからです。
よって、一般的によく用いられる期間設定について下の表にまとめました。

短期線中期線長期線
日足以下5、1020、25、5075、100、200
週足91326、52
月足122460、120

移動平均線の見方

米ドル/円 5分足 単純移動平均線 向き

移動平均線の見方は、方向角度を意識することが重要です。
上向きなら上昇トレンド下向きなら下落トレンドを表し、角度が大きいほどトレンドの勢いが強いことを示しています。上記チャート参照

ドル/円 5分足 単純移動平均線 価格位置

移動平均線とローソク足の位置関係からもトレンドを読み取ることができます。
ローソク足が移動平均線より上にある場合は上昇トレンド下にある場合は下落トレンド、ローソク足と移動平均線が絡み合う状態であればレンジ相場と判断できます。上記チャート参照

移動平均線の使い方

移動平均線を使った相場分析の方法には、短期線と長期線を使ったものや別のテクニカル指標と組み合わせたものなど、様々なものがあります。

ゴールデンクロス

ゴールデンクロスとは、移動平均線の短期線が長期線を下から上に突き抜けた状態をいいます。
価格上昇のサインといわれています。

米ドル/円 5分足 単純移動平均線 ゴールデンクロス

上記は、米ドル/円の5分足チャートです。
赤丸のところで、ピンク色の短期線(25SMA)が緑色の長期線(75SMA)を上抜けてゴールデンクロスが発生しています。
その後価格は、上昇しています。
ただし、ゴールデンクロスが発生しても下落する可能性はあり、必ずしも上昇するわけではありません。

デッドクロス

デッドクロスとは、移動平均線の短期線が長期線を上から下に突き抜けた状態をいいます。
価格下落のサインといわれています。

米ドル/円 5分足 単純移動平均線 デッドクロス

上記は、米ドル/円の5分足チャートです。
青丸のところで、ピンク色の短基線(25SMA)が緑色の長期線(75SMA)を下抜けてデッドクロスが発生しています。
その後価格は下落しています。
ただし、デッドクロスが発生しても上昇する可能性はあり、必ずしも下落するわけではありません。

単純移動平均線とRSIを組み合わせた分析方法

移動平均線は相場のトレンドを読み取るのに有効ですが、レンジ相場では活用しづらいという弱点があります。
逆にレンジ相場で力を発揮するのがRSIです。
RSIは、現在の相場が上昇と下落のどちらに傾いているのかを示すテクニカル指標で、0%~100%の数値で「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断します。
RSIには、トレンドが強く発生している時に活用しづらいという弱点がある一方で、レンジ相場での売買判断に強みを持っており、移動平均線と組み合わせることで、両者の弱点を補い合って相場分析の精度を上げることができます。
RSIは、70~80%を上回ると「買われ過ぎ」20~30%を下回ると「売られ過ぎ」と判断されますが、強いトレンドが発生している場合、これらが誤ったサインとなることが多々あります。
そのため、移動平均線が横ばいで強いトレンドが発生していない時に、RSIの売買サインを活用することで、精度を高めることが可能になります。

米ドル/円 5分足 単純移動平均線 RSI 売られ過ぎ

上記は、米ドル/円の5分足チャートです。
移動平均線の角度が緩やかで強いトレンドが発生していない時に、RSIが30%以下(青丸)の売られ過ぎゾーンに入ってきた後、相場が反発し上昇しています。

米ドル/円 5分足 単純移動平均線 RSI 買われ過ぎ

上記は、米ドル/円の5分足チャートです。
移動平均線の角度が緩やかで強いトレンドが発生していない時に、RSIが70%以上(赤丸)の買われ過ぎゾーンに入ってきた後、相場が下落しています。

移動平均線まとめ

移動平均線は相場状況をつかむのに役立ちますが、誤ったサインが現れる場合もあり、これを「ダマシ」といいます。
ダマシを回避するためには、他のテクニカル指標やファンダメンタルズなどの様々な情報とあわせて総合的に判断することが大切です。

ダラ
ダラ

移動平均線は、色々なものと組み合わせるのがおすすめだニャ