平均足

平均足とは?

円吉 平均足

平均足とは、相場のトレンドを明確に表示するために、ローソク足の描画ルールに変更を加えたテクニカルチャートです。
平均足は、相場の上昇局面では陽線が連続し、下落局面では陰線が連続して出現する傾向があり、相場のトレンドをより明確に表示してくれます。
一目でトレンドの流れを把握できるので、売買判断を下しやすいチャートといえます。

平均足とローソク足の違い

平均足とローソク足には、どのような違いがあるのかみていきましょう。

平均足とローソク足、それぞれの特徴と違い

平均足はローソク足に似ていますが、平均足の方が相場のトレンドを把握しやすいといえます。

米ドル/円 5分足チャート 平均足

上記チャートは、上にローソク足、下に平均足を表示させたものです。
ローソク足は陰線と陽線が不規則に出現しているのに対し、平均足は陰線や陽線が連続して出現していることがわかります。
ローソク足では、たとえ上昇を見込んでいたとしても、陰線が続くと「トレンドが反転したのでは」と不安になることがあります。一方、平均足は陽線や陰線が連続して表示されやすいため、ローソク足に比べてトレンドの方向を視認しやすいという特徴があります。

平均足とローソク足の算出方法の違い

まずローソク足は、始値・高値・安値・終値といった4本値を1本の足で表示したものです。例えば5分足チャートで、ある足の終値が155.50円であれば、次の足の始値は155.50円から始まります。
つまりローソク足は単純に始値が終値よりも安い場合は陽線、始値が終値よりも高い場合は陰線が表示されます。
一方平均足では、1つ前の足の始値と終値の平均値が始値となります。例えば5分足チャートの場合、ある足の始値が155.00円、終値が155.20円であれば、次の足の始値はその平均値の155.10円となります。
つまり平均足は、前の足の始値と終値の平均値を活用するため、前の足の真ん中から次の足の始値が始まります。
また平均足の終値は、期間中の始値・高値・安値・終値の平均値が用いられます。例えば「始値155.00円、安値154.90円、高値155.20円、終値155.10円」であった場合、平均足の終値は4つの価格の平均値の155.05円となります。
平均値を活用することで値動きのブレを減少させ、陽線や陰線が連続して出現しやすくなります。
また、新しい足は必ず一つ前の足の真ん中から表示されるため、ローソク足で発生する窓(ギャップ)が発生することはありません。

平均足とローソク足の違い 図

平均足の使い方

平均足にはさまざまな活用方法があります。その中でも特に代表的な使い方に焦点を当てて、ご紹介します。

上ヒゲがある陽線の連続は上昇トレンドを示唆

平均足チャートでは、上昇局面において上ヒゲがある陽線が続きます。
上ヒゲの長い陽線が連続した場合、強い上昇トレンドを示唆しています。

米ドル/円 5分足チャート 上ヒゲ陽線の連続は上昇トレンドを示唆

下ヒゲがある陰線の連続は下降トレンドを示唆

逆に下降トレンドにおいては、下ヒゲがある陰線が続きます。
下ヒゲの長い陰線が連続した場合、強い下降トレンドを示唆しています。

米ドル/円 5分足チャート 下ヒゲ陰線の連続は下降トレンドを示唆

上昇トレンド中、下ヒゲがある陽線の出現は下降トレンドへの転換を示唆

上昇トレンド中、下ヒゲのある陽線が出現した場合、上昇圧力の弱まりと下降トレンドへの転換を示唆しています。

平均足 上昇から下降へ転換

下降トレンド中、上ヒゲがある陰線の出現は上昇トレンドへの転換を示唆

下降トレンド中、上ヒゲのある陰線が出現した場合、下落圧力の弱まりと上昇トレンドへの転換を示唆しています。

平均足 下降から上昇へ転換

実体の長さはトレンドの強弱を示す

平均足はローソク足同様、始値から終値までのボックス部分を実体といいます。
平均足の実体の長さは、トレンドの強弱を示しています。
一つ前の足と比べて実体の短い平均足が出現した場合、トレンドの勢いが弱まっていることを示唆しており、トレンドの転換が予想されます。

平均足 実体の長さとトレンドの強弱

平均足のデメリット

平均足は、上昇局面では陽線、下落局面では陰線が連続しやすいため、トレンドの流れを視覚的に捉えやすいというメリットがあります。
一方で、いくつか注意すべきデメリットも存在します。

レンジ相場で発生しやすい「ダマシ」に注意

平均足は、トレンドが明確な相場では力を発揮しますが、一方でレンジ相場では判断が難しくなるというデメリットがあります。
トレンド相場では「平均足が陽線に転じたら買い、陰線に転じたら売り」という判断が効果的ですが、レンジ相場では、陽線と陰線が頻繁に入れ替わるため、転換のサインが「ダマシ」になるケースも少なくありません。

平均足 レンジ・ダマシ

上記チャートは、レンジ発生で陽線・陰線が頻繁に入れ替わり、転換サインが「ダマシ」となったケースです。
①の上昇トレンド後、②のレンジが発生。
陽線と陰線が頻繁に入れ替わるため、売買判断がしづらい局面といえます。
その後、③で再び上昇トレンドが発生しています。
結果として、②のレンジでの陽線・陰線の切り替わりは転換サインではなく「ダマシ」であったといえます。

平均足と他のテクニカル指標を組み合わせたトレード手法

前述したように、平均足にはレンジ相場で活用しづらくなってしますというデメリットがあります。
その対策として、平均足に他のテクニカル指標を組み合わせる方法があります。

平均足とボリンジャーバンドを組み合わせたトレード手法

レンジ相場でエントリーポイントを探る場合は、ボリンジャーバンドの±1σや±2σのラインと価格の位置関係に注目します。
平均足が±1σや±2σのラインを超えたら、トレンド発生の可能性があると判断することができます。
またボリンジャーバンドがエクスパンション(拡大)しているかも重要です。
ボリンジャーバンドがスクイーズ(収縮)している状態で±1σや±2σのラインを超えても、相場に勢いがなくダマシとなるケースがあります。
平均足がボリンジャーバンドの±1σや±2σのラインを超え、さらにエクスパンションも確認できれば、より優位性のある取引が可能です。

米ドル/円 5分足チャート 平均足、ボリンジャーバンド

上記は、米ドル/円 5分足チャートです。
①の上昇トレンド後、②のレンジに移行しています。
レンジが進み、徐々にボリンジャーバンドの幅が縮小する「スクイーズ」の状態になっています。
その後、③で平均足がボリンジャーバンドの-2σを下抜け、さらにバンド幅が広がっていく「エクスパンション」の状態となっています。
ここが、下降トレンド発生のサインとなります。
その後④で下降トレンドが発生し、相場は下落しています。

平均足まとめ

平均足を用いた相場分析は、トレンドを把握するうえで有効な手段といえますが、絶対ではないため過信は禁物です。
そのため、平均足を使った売買を行う場合は、損切り基準に達した時点でしっかりと損切りするようにしましょう。
また、誤った判断を避けるためには、他のテクニカル指標やファンダメンタルズ分析を併用し、複数の条件を照らし合わせながら総合的に判断することが大切です。

円吉
円吉

平均足は、他のテクニカル指標と組み合わせて使用することをおすすめします。