為替相場は、常にランダムに動いているわけではありません。
「時間帯」や「時期・季節的な要因」によって、値動きの傾向や特徴は異なります。
例えば、東京時間は動きが穏やかでレンジが多い傾向がある一方、欧州時間やニューヨーク時間には大きなトレンドが発生することもあります。
また、五十日(ごとうび)や月末、年末といった時期には、実需のフローやポジション調整によって通常とは違った値動きになることも少なくありません。
このパートでは、時間帯別の値動きの特徴や、時期・季節ごとに意識すべき相場の傾向について詳しく解説します。
FXの取引時間
FXは、平日・祝日のほぼ24時間いつでも取引が可能です。
FXは、2つの国の通貨を売買して差益を狙う取引で、たとえば「円とドル」を交換するような場を「外国為替市場」と呼びます。
この市場には、世界中の金融機関同士が取引する「インターバンク市場」と、金融機関が個人投資家や企業と取引を行う「対顧客市場」の2つがあります。
外国為替市場では、株式取引のように特定の取引所を介するのではなく、電話やインターネットを通じて世界中で取引が行われています。
そのため、FXでは時間や場所に縛られることなく、ほぼ24時間いつでも売買が可能なのです。
具体的な取引時間はFX会社によって若干異なるものの、多くの場合は月曜の午前7時から土曜の午前7時までが一般的な取引時間となっています。
なお、サマータイム(夏時間)が導入されている期間中は、土曜の終了時間が午前6時までと、取引時間は若干短くなります。
FXの各市場の取引時間帯と特徴
ここからは、FXにおける主な市場の取引時間や特徴を解説していきます。
各市場の特徴や値動きをしっかり理解し、自分の得意な市場を作ることで、より優位性のあるトレードを行えるようになります。
ウェリントン・シドニー市場

ウェリントン・シドニー市場の主な取引時間は、日本時間の5時~15時(夏時間:4時~14時)です。
これらの市場は、世界の為替市場の中で最も早く開くため、週末に大きな出来事が発生した場合、最初に反応を見せることが多いのが特徴です。
しかし、この時間帯は全体的に市場参加者が少なく、特に5時〜8時頃は取引が閑散としがちです。
その結果、値動きは限定的である一方、スプレッドが広がりやすくなる傾向があります。
また、流動性が低いことで突発的な価格変動が起こる場合もあり、予測が難しい局面に遭遇することもあります。
そのため、初心者にとってはリスクの高い時間帯といえるため、無理に取引するのは控えるのが無難です。
東京市場

東京市場の主な取引時間は日本時間の8時〜17時です。
香港やシンガポールなど、アジア地域に住んでいる方も取引に参加し始めます。
円を含む通貨ペアの取引が活発化しやすいのがこの時間帯の特徴です。
また取引が活発な時間帯は、9時~10時前後となります。(東京株式市場が始まる9時から仲値関連の動きが活発化する10時前後)
特に、銀行などの金融機関が顧客との外貨取引の基準とする「仲値」が決定される午前9時55分前後は、ドル買いが進みやすく、結果として円安方向へ為替が動きやすい傾向があります。
特に「五十日(ごとうび)」と呼ばれる毎月の5日・10日・15日・20日・25日・30日などは、海外取引先へのドル建ての支払いを行う日本企業が多くなる傾向があります。
そのため、この日は市場でドル需要が高まりやすく、ドル買いが優勢になりやすいとされています。
銀行もドルの需要を見越して資金を調達する傾向があるため、仲値公示前にはドル買いが入りやすく、結果的にドル高円安が進みやすいとされています。
とはいえ、9時~10時前後の時間帯を除けば全体的に値動きは穏やかなため、大きな価格変動による損失を避けたいトレーダーにとっては、比較的リスクを抑えて取引しやすい時間帯とされています。
ドル円相場と日経平均株価の連動性について
一般的にドル円相場と日経平均株価は連動性が高いといわれています。
主な理由は以下の通りです。
【理由①】
- 日経平均を構成する225銘柄の多くが輸出企業である。
- これらの企業は、円安になると、海外での売上が円換算で増えるため、業績が良くなる傾向がある。
- その結果、「円安 ⇒ 業績期待上昇 ⇒ 日経平均上昇」という流れが生まれやすくなる。
- 逆に円高になると、輸出企業にとって不利になり、日経平均が下がる傾向がある。
【理由②】
- 日本の株式市場では外国人投資家の売買比率が非常に高い。
- 円安期待があるときは、為替差損を避けるために「円売りヘッジ」を同時に行うことがある。(この段階ではドル円相場への影響は中立的。)
- しかし株価が上昇すると、ヘッジ比率を維持するためにさらなる「円売り」が行われることがある。(逆に、株価が下落すると「円買い戻し」が発生しやすい。)
- 上記理由から、材料を伴う大きな相場変動時の方が、比較的ドル円相場と日経平均株価の連動性は高い傾向にある。
ロンドン市場

ロンドン市場の主な取引時間は日本時間の17時〜翌3時(夏時間:16時~翌2時)です。
ロンドン市場は世界最大の外国為替市場ともいわれ、特に取引が活発になる時間帯は17時~19時です。
19時を過ぎるとトレーダーが昼休みに入るため、値動きは落ち着く傾向があるようです。
また、本格的にロンドン市場が始まる約1時間前のアーリーロンドンと呼ばれる時間帯から取引に加わる参加者もいます。
ロンドン市場の時間帯は、ユーロやポンドなどを含む通貨ペアの取引が盛んになり、ユーロ圏の経済指標が発表されると、相場の変動が一段と大きくなる傾向があります。
利益を得るチャンスが広がる反面、損失リスクも高まるため、慎重な対応が求められます。
ニューヨーク市場

ニューヨーク市場の主な取引時間は日本時間の22時〜翌7時(夏時間:21時~翌6時)です。
この時間帯は、ドル/円のほか、ユーロ/ドルなどのドルストレートと呼ばれる通貨ペアが積極的に取引されます。
ニューヨーク市場の特徴の一つは、21時を過ぎた頃からアメリカ勢の参入によって、為替相場の値動きが1日の中で最も活発になる点です。
この時間帯には、雇用統計や消費者物価指数(CPI)など、米国の主要な経済指標が発表されることが多く、相場に大きなインパクトを与えることがあります。
また、22時から翌3時頃まではロンドン市場の取引時間とも重なるため、取引量が一段と増加しやすく、大きなトレンドが生まれやすい時間帯です。
そのため、取引できる時間が限られているトレーダーの中には、この時間帯に集中してトレードを行う人も少なくありません。
他にも、「ニューヨークオプションカット」と呼ばれる通貨オプション(あらかじめ決められた期日や価格で通貨を売買する権利のこと)の権利行使期限である24時前後(夏時間は23時前後)や、「ロンドンフィキシング」と呼ばれるロンドン為替市場の仲値が決まる翌1時前後(夏時間は24時前後)は特に値動きが活発になるケースが多くなっています。
FXの取引時間帯に関する注意点
FXの取引時間帯に関しては、いつくかの注意点があるため以下のような点に注意しましょう。
サマータイム制度による取引時間の変更に注意
サマータイム制度とは、夏の間、日照時間が長くなるため、活動時間を有効活用するために導入され制度です。
サマータイム期間中は、標準時間より1時間早く時刻が進められるため、FXの取引時間や経済指標の発表時刻も、それに応じて1時間前倒しになります。
多くのFX会社では、夏時間から標準時間への移行は11月の第1日曜日、標準時間から夏時間への移行は3月の第2日曜日とされています。
取引機会を逃さないよう、サマータイムの切り替え時期は事前に把握しておくことが重要です。
注目度の高い経済指標が発表される時間帯に注意
政策金利発表や米雇用統計、消費者物価指数(CPI)など、市場に与える影響が大きい経済指標の発表時には、相場が大きく変動する可能性があるため注意が必要です。
想定を上回る急激な値動きが生じることやトレンドが突如として反転することもあり、相場の先読みが難しくなります。
また、政府関係者や中央銀行の総裁といった要人の発言によっても市場が大きく動くことがあります。
こうした不確実性の高い局面では、資金管理が難しくなるなど、高いトレード技術が求められます。
そのため、経済指標発表や要人発言など、事前に把握できるスケジュールはしっかりと確認しておくことが重要です。
為替相場の時期・季節性要因による特徴と傾向
為替相場は、経済指標やニュースだけで動くわけではありません。
月末や四半期末といった「時期」や、ゴールデンウィーク・夏季休暇・年末年始といった「季節性要因」によっても、特有の値動きが発生することがあります。
これら特有の値動きは、一般的に「アノマリー」と呼ばれています。
アノマリーとは、「異常」や「例外」を意味する言葉で、一般的な理論や法則で合理的に説明できないような値動きやパターンを指すものとされています。
ここからは、そうしたアノマリーと呼ばれる時期や季節に起因する相場の特徴と傾向を整理し、リスク回避やチャンス発見につなげるためのヒントを解説します。
毎週・毎月のアノマリー
アノマリーの中には、毎週・毎月のように繰り返し発生する傾向があるものも存在します。
週末・月末フロー
週末にかけて相場を動かすニュースやリスク要因が出る可能性があるため、金曜日には多くの投資家がポジションを整理し、決済を進める傾向がみられます。
また、月末には、機関投資家やヘッジファンドなどの大口投資家が、ポートフォリオの資産配分を見直す「リバランス」を目的に積極的な売買を行う傾向があります。
このように月末や金曜日は、取引量の急増によって相場が大きく動きやすいタイミングとされており、思わぬ値動きに注意が必要です。
月末ロンフィク(月末のロンドンフィキシング)
ロンドンフィキシングとは、ロンドン外国為替市場において、銀行が顧客との取引の基準とする為替レート(仲値)が決定・公表される時間帯を指します。
一般的に、日本時間25時(夏時間は日本時間24時)に行われることが多く、市場に強い影響を与えるケースも少なくありません。
特に月末のロンドンフィキシング(月末ロンフィク)には注意が必要です。
月末のこの時間帯にはポンドが買われやすく、結果的にポンド高へと振れやすいというアノマリーが知られています。
これは、ロンドン市場が世界最大の為替市場であることに加え、月末のタイミングで多くの機関投資家や企業がポンド建ての決済やリバランスを行うことが背景にあります。
このアノマリーは、市場全体に波及する可能性があるため、多くのトレーダーに注目されています。
また、「特定のパターンが繰り返されやすい」という特徴があるため、事前に把握しておくことで、トレード戦略にも活かしやすくなります。
スワップ3倍デー(水曜日のスワップポイント)
水曜日にはスワップポイントに関するアノマリーが存在するといわれています。
スワップポイントとは、FXにおいて金利差のある通貨ペアを保有した際に発生する金利調整分のことで、高金利通貨を買い、低金利通貨を売ることで受け取れる仕組みです。
ただし、逆に低金利通貨を買ってしまうと、スワップポイントを支払うことになる点には注意が必要です。
このスワップポイントは原則毎日付与されますが、週末(土日)の分については、木曜早朝のロールオーバー時にまとめて3日分付与されるのが一般的です。
そのため、水曜日の取引ではこの「3倍スワップ」を狙った動きが出やすく、取引が活発になる傾向があります。
たとえば、ドル/円や高金利通貨ペアのロングポジション(高金利通貨の買い)を水曜日に保有しておけば、木曜日に3日分のスワップポイントを受け取れるため、多くのトレーダーがこのチャンスを狙います。
結果として、水曜日には低金利通貨が売られ、高金利通貨が買われる流れが強まり、一時的に為替レートが変動しやすくなると考えられています。
また、祝日の関係でスワップポイントが3倍以上になる日も存在します。
特に日本の大型連休であるゴールデンウィークや年末年始は毎年5倍以上のスワップポイントが付与されています。
このことは多くのトレーダーに知られており、一種のイベントとなっています。
なお、これらのスワップ増量デーを前提としたトレードを行う場合は、事前にFX会社が提供しているスワップポイントカレンダーでスケジュールを確認しておくことをおすすめします。
各月のアノマリー
為替相場では、時期や季節に起因する特徴的な値動きが発生することがあります。
ここからは、そんな年間を通して発生する各月ごとのアノマリーについて紹介します。
1月:1月効果
1月には「1月効果」と呼ばれるアノマリーがあります。
これは「1月の相場動向が、その年全体の相場を示唆しやすい」とされる傾向のことです。
たとえば、1月に上昇相場となった場合は、その年の相場も全体的に上昇基調になりやすく、逆に1月に下落していれば、その年は軟調な展開になる可能性が高いとされています。
この現象は、年明けというタイミングで多くの投資家やトレーダーがポジションを一度整理し、新たな運用方針のもとで取引を始めるため、通常よりも市場の流動性が高まり、価格が大きく動きやすくなることが背景にあると考えられています。
なお、この「1月効果」は為替市場に限らず、株式市場でも広く知られている現象です。
2月:節分天井、彼岸底
2月には「節分天井・彼岸底」という有名な相場格言に基づいたアノマリーが存在します。
これは、「2月初旬の節分の時期に相場が高値をつけ、3月中旬の彼岸に向けて下落し、底を打つ」という季節的な値動きの傾向を指しています。
2月は米国債の償還・利払いのタイミングと重なり、日本の米国債保有者のドル売り円買いの動きが強まることで、外国為替市場では円高ドル安の圧力がかかる傾向があります。
また、日本の投資家はドル資産を多く保有していることから、この時期にドル売りが集中しやすく、さらに円高ドル安が進みやすいとも考えられています。
こうした季節性のアノマリーを意識しておくことで、トレーダーは相場の動きに備え、より戦略的なトレード行うことが可能になります。
3月:日本企業の決算期
3月には、「日本企業の決算期」に伴うアノマリーがみられます。
これは、日本では多くの企業が3月末を決算期としており、決算時は会社の資産を日本円で確保しておく必要があることから、外貨建てだった資産を日本円に交換する「レパトリエーション」の動きが活発化するためです。
特に、大企業や輸出関連企業などが一斉に動くことで、為替市場にも大きな影響が及びやすく、結果として円高ドル安の圧力が強まりやすい月とされています。
また、こうした大口の資金移動に追随して、個人投資家やその他の機関投資家も同様の取引を行うことが多く、さらにその傾向が強まりやすいとされています。
4月:円安ドル高
4月は「円安ドル高に傾きやすい月」として知られています。
3月の円高ドル安傾向から一転し、4月になると相場は逆方向に動くことが多く、その背景には3月と同様に企業の資金移動が関係しています。
新年度が始まるこの時期は、多くの日本企業や政府機関にとって、新たな事業や投資活動をスタートさせるタイミングです。
輸入企業は必要な外貨を確保するために日本円を売る動きを強め、また他の企業も新年度の計画に基づいて外貨建てでの投資や資金調達を積極的に行うようになります。
特に米ドルの需要が高まりやすいことから、4月は全体的に円安ドル高の傾向が強まりやすいと考えられています。
5月:セル・イン・メイ(Sell in May)

5月には、「セル・イン・メイ(Sell in May)」という有名なマーケットの格言が存在します。
この言葉は、「5月に株を売れ」という意味合いで使われるもので、株式市場がこの時期に弱含みやすく、リスク回避の動きが強まることで、円高ドル安に傾く傾向があるとされています。
このアノマリーに基づく動きは、日本のゴールデンウィークや米国のバケーションシーズン入りが近づく中で、休暇前に利益確定売りを出す投資家が増えることが理由として考えられています。
また、ゴールデンウィーク中も通常どおり営業している海外拠点を持つ日本企業が、米ドルを売って日本円を買い続けることなども影響していると考えられています。
さらに、ゴールデンウィーク期間中は日本の市場参加者が大幅に減るため、通常よりも相場の変動が大きくなりやすい点にも注意が必要です。
6月:米国の夏休み入り
6月には、「アメリカの株価が下落しやすい」というアノマリーが知られています。
これは、アメリカの大手ファンドや機関投資家が夏季休暇に入ることが多いためです。
日本の大型連休と同様に、市場参加者が減少し取引量が減ることで、リスク回避の動きが強まり、米国株は全体的に軟調になりやすい傾向があります。
米国株が下落すると、投資家は資金をより安全な資産へ移す動きを見せるため、日本円への資金流入が起こりやすくなります。
こうした流れから、6月は円高ドル安が強まりやすい傾向があるといわれています。
7月:サマーラリー
7月には「サマーラリー」と呼ばれるアノマリーが存在します。
これは、夏のボーナス支給やバカンス前の動きにより、米国株が上昇し、同時にドル高が進みやすくなるという季節的な傾向を指します。
この期間に株価が上昇しやすい理由としては、投資家がボーナスなどで株を買い増すため、または夏季休暇前に優良株を仕込むためなど、様々な説があります。
為替市場においては、7月はサマーラリーによってドル高傾向のなりやすい時期だと覚えておくとよいでしょう。
8月:夏枯れ相場

8月は「夏枯れ相場」と呼ばれる現象が起こりやすくなります。
この時期は、アメリカやヨーロッパの市場参加者の多くが夏季休暇に入るため、市場の取引量が減少し、相場全体が軟調になる傾向があります。
また、8月は米国債の利払い時期とも重なっており、利息を受け取った投資家が米ドルを売却し、日本円に資金を戻す動きが強まるため、円高ドル安の流れが生まれやすいとされています。
加えて、日本国内でもお盆休みなどの長期休暇により市場参加者が少なくなり、流動性が低下する傾向があります。
実際に、過去の相場では8月に急激な円高が発生した例も多く、この時期特有のアノマリーとして警戒しておくべきでしょう。
9月:日本企業の中間決算
9月は、多くの日本企業が中間決算期を迎えることから、円高ドル安の傾向が強まる時期とされています。
これは、3月の本決算時と同様に、外貨を日本円に換える「レパトリエーション」の動きが活発になるためです。
企業による一斉の資金移動が日本円の需要を押し上げ、その影響が為替相場にも現れます。
さらに、夏季休暇を終えた投資家やトレーダーの市場復帰によって参加者が増え、流動性が戻る時期でもあります。
そのため、大きな値動きが発生しやすく「大相場」が展開されやすい月ともいわれています。
為替市場においては、こうした背景を踏まえ、大相場を伴いながら円高ドル安になる月と覚えておくと良いでしょう。
10月:10月効果
10月には、米国株が下落しやすいとされる「10月効果」と呼ばれるアノマリーがあります。
1929年10月24日の「ブラックサーズデー(暗黒の木曜日)」による世界恐慌の引き金や、1987年10月19日の「ブラックマンデー」での大暴落など、歴史的な暴落が10月に集中して起こったことが背景にあります。
こうした過去の大きな出来事から、「10月=暴落の月」というイメージを持つ投資家も多く、リスク回避の動きが強まりやすいタイミングでもあります。
その結果、株式市場は軟調になりやすい傾向があります。
為替市場においては、安全資産とされる日本円に資金が集まりやすく、円高ドル安が進行しやすい月としても知られています。
11月:ポジション調整
11月は、ポジション調整の影響により、9月から続いていたトレンドが月末にかけて反転しやすい時期とされています。
9月からの大きな値動きが一段落し、市場には落ち着きが戻る傾向があり、11月の最終週には日本とアメリカの株式市場で株価が上昇しやすい傾向も見られます。
さらに、11月には感謝祭(サンクスギビング)があり、米国市場が短縮取引や休場となる日もあります。
その影響で市場参加者が減少し、一時的に流動性が低下する可能性があるため、為替市場においても注意が必要です。
12月:欧米企業の決算期、クリスマス効果

12月は、欧米企業の決算期によるドル高円安傾向と、「クリスマス効果」と呼ばれる季節的なアノマリーも見られる時期です。
12月は多くの欧米企業が決算期をむかえ、海外で上げた利益を本国に送る「レパトリエーション」の動きが活発化しやすくなります。
これにより米ドル需要が増加するため、為替市場ではドル高円安に動きやすくなります。
一方で、「クリスマス効果」とは、年末休暇に入る市場参加者が増えることで、取引量が減り、市場が閑散とした状態になる現象を指します。
流動性は低下しますが、それまでの相場の流れが大きく崩れることは少なく、比較的落ち着いた値動きが続くことが多いとされています。
ただし、こうした傾向は過去のパターンに基づくものであり、必ずしも毎年同じように動くとは限りません。
流動性が乏しい局面では、わずかなニュースや材料がきっかけで大きく相場が動くこともあるため、十分な注意が必要です。
【時間帯、時期・季節性要因に見る為替相場の特徴と傾向】まとめ
為替相場には、時間帯や時期・季節ごとに特徴や傾向があります。
もちろん、常に同じような動きをするわけではありませんが、これらの「時間的なパターン」を把握しておくことで、より優位性のあるトレード判断につなげることができます。
相場のリズムを読み解き、経験則を味方につけながら、冷静かつ柔軟な対応を心がけましょう。

時間的なパターンを把握しておくことは大切だニャ。