ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドとは?

ジェームズ・ポンド ボリンジャーバンド

ボリンジャーバンドとは、アメリカの投資家ジョン・ボリンジャーによって考案されたテクニカル指標です。
中心には単純移動平均線があり、その上下には標準偏差と呼ばれる帯状のラインが描かれています。
標準偏差とは、データのばらつき具合を表す統計的な指標です。

ボリンジャーバンドの上下のラインには「±1σ標準偏差」や「±2σ標準偏差」などがあり、下記の確率で過去のレートの値がそれぞれのラインの間の範囲内に収まるとされています。
※ σ(シグマ=標準偏差)

ボリンジャーバンド 各ライン名称
標準偏差範囲内に価格が収まる確率
±1σ約68.3%
±2σ約95.4%
±3σ約99.7%

上下のラインはほぼ移動平均線に沿って動いていますが、時折幅が広くなったり狭くなったりしています。
これは価格の変動率(ボラティリティ)を反映しており、バンドが広がっていると値動きが大きいことを、狭まっていると値動きが小さいことを示しています。

ボリンジャーバンドの計算式

ボリンジャーバンドを作成するためには、まず対象期間中の価格の標準偏差を求める必要があります。対象の期間をn日間とした場合、標準偏差は以下の式で求められます(価格は通常終値を使用)。

標準偏差=√(n×期間中の価格の2乗の合計-期間中の価格の合計の2乗)÷{n×(n-1)}

求められた標準偏差を用いて、次の計算式で各バンドを求めます。

 ±1σ = n日間の単純移動平均 ± 標準偏差
 ±2σ = n日間の単純移動平均 ± 標準偏差 × 2
 ±3σ = n日間の単純移動平均 ± 標準偏差 × 3

ボリンジャーバンドの期間設定

ボリンジャーバンドの期間設定については、特に決まりはありません。
一般的には「20」が推奨されることが多い印象です。
期間設定に迷った場合は「20」に設定すればいいかと思います。

ボリンジャーバンドの見方

ボリンジャーバンドは、値動きに応じてバンド幅が変化する「動的」な指標です。
実際に取引に利用するうえで、覚えておくべき4種類のバンド形状があります。

ボリンジャーバンド バンド形状
  1. スクイーズ
    バンドの幅が縮小している状態は「スクイーズ」と呼ばれ、相場がもみ合っていることを示します。スクイーズの局面ではボラティリティが低く、トレードしても大きな利益を得られる可能性はあまり高くありません。
  2. エクスパンション
    バンドの幅が広がっている状態は「エクスパンション」と呼ばれ、ボラティリティの上昇を示します。これはトレンドが発生している場面でよく見られ、相場としては大きな利益を狙いやすいタイミングといえるでしょう。
  3. バンドウォーク
    ローソク足が±2σのラインに沿って並んでいる状態は「バンドウォーク」と呼ばれます。これはトレンドが持続している際に見られる現象で、上昇トレンドでは+2σ、下降トレンドでは-2σのラインに沿ってローソク足が並ぶ傾向があります。
  4. ボージ
    バンドの幅が最大に広がった箇所は「ボージ」と呼ばれます。このタイミングは価格変動が最も激しい局面であり、トレンドの終わりを示すサインとなることがあります。

ボリンジャーバンドの使い方

ボリンジャーバンドを使った代表的な戦略のひとつに、スクイーズからエクスパンションに移る局面でエントリーする手法があります。
具体的にはバンドの幅が拡大し、ローソク足の終値が±2σのラインを超えたら順張りでエントリーします。つまり、+2σのラインを上抜けたら買い注文、-2σのラインを下抜けたら売り注文を出します。
このように、レンジ相場のあとに価格が±2σのラインを突破する現象を「ボラティリティ・ブレイクアウト」と呼びます。これは、レンジを抜けて新たなトレンドが始まる可能性が高いことを示すサインです。

ボリンジャーバンド 使い方 利食いパターン

上記チャートを見ながら、エントリーと決済のタイミングを確認してみましょう。
スクイーズの状態から価格が-2σのラインを下抜け、エクスパンションが始まっています。
ここがボラティリティ・ブレイクアウトであり、ショートエントリーのタイミングとなります。
その後、バンドウォークしながら価格が下落していき、ブレイクした方向とは逆側のバンドが先行して転換に入ります(上記チャートでは+2σが上向きから下向きに転換する)。
ここが最初の利食い決済タイミングです(上記チャートの決済①)。
ブレイクした方向と逆側のバンドの縮小への転換は、トレンドが減衰して保ち合いに入るとすぐに起こります。
次に、ブレイクした方向のバンド(上記チャートでは-2σ)が反転に転じるタイミングがあり、ここが2度目の利食い決済タイミングとなります(上記チャートの決済②)。
分割して決済する場合は、決済①で一部を利食いし、決済②で残り全てを利食いすることになります。
一括決済の場合は、決済①か決済②のどちらかで全てを利食い決済します。

では次に、損切りとなるケースを確認してみましょう。

ボリンジャーバンド 使い方 損切りパターン

上記チャートは、スクイーズから一度-2σを下抜けてボラティリティ・ブレイクアウトしています。
しかし、その後価格が上昇していき、逆方向にトレンドが発生しています。
このダマシの動きを「ヘッドフェイク」といいます。
スクイーズからエクスパンションに移行するタイミングでエントリーする手法では、このヘッドフェイクへの対策を覚える必要があります。

【対策①】
FX初心者の方やこのエントリー手法に慣れていない方は、ボラティリティ・ブレイクアウトが起きてもすぐにエントリーしないという一つの対策法があります。
為替相場では、トレンド発生後一時的に価格が逆行することは多々あり、上昇トレンド中の逆行による下落を「押し目」、下降トレンド中の逆行による上昇を「戻り目」といいます。
この「押し目」「戻り目」を待ってエントリーすることで、もしもヘッドフェイクが発生し損切りになった場合でも、損失を限定的にすることができます。
また、「押し目」「戻り目」の後、再度トレンド方向に価格が戻っていくタイミングでエントリーする方法もあります。
この場合、トレンドをしっかり確認でき、ヘッドフェイクにあう確率を下げられる可能性があります。

【対策②】
より長期の足と合わせて売買判断をするという方法があります。
短期足のチャートは、一般的に長期トレンドの方向へブレイクしやすいとされています。したがって、長期トレンドと同じ方向へのブレイクに限定してエントリーすることで、ヘッドフェイクによるダマシを回避しやすくなるといえます。

【対策③】
エントリー後、ヘッドフェイクが発生した際はしっかり損切りすることが大切です。
損切りタイミングとしては、価格が「ミドルラインをエントリー方向とは逆に抜けた時」や「反対の2σラインを抜けた時」(上記チャートの損切り決済箇所)などがあります。

ボリンジャーバンドまとめ

ボリンジャーバンドは、多くのトレーダーが活用している人気のテクニカル指標です。
ですが万能ではないため、上記のようなダマシ対策を行うことや損切り基準に達した時点でしっかり損切りするようにしましょう。
また、誤った判断を避けるためには、他のテクニカル指標やファンダメンタルズ分析を併用し、複数の条件を照らし合わせながら総合的に判断することが大切です。

ジェームズ・ポンド
ジェームズ・ポンド

ダマシ対策と損切りはしっかりするべきだな。