応用・実践編

応用・実践編

トレードの知識を学んでも、いざ相場に向き合うと「どんな流れで進めればいいのか分からない」「手法をどう使えばいいのか迷う」と感じる方は少なくありません。
本記事では、トレードを行う際の一連の流れを整理・確認しながら、身に着けてきた知識をどう応用し実践で活かしていくのかを解説していきます。

トレードの一連の流れ

トレードは思いつきで売買するのではなく、一定のプロセスに沿って進めることで安定した結果につながりやすくなります。
ここでは、実際にトレードを行う際の一連の流れを整理していきましょう。

  • 手順①:トレード前の環境認識
  • 手順②:環境認識を踏まえた戦略の立案
  • 手順③:トレード実施
  • 手順④:トレード後の振り返り、検証・改善

上記の手順①~④の流れを理解することで、感情に振り回されにくくなり、トレード精度を高めることができます。

手順①:トレード前の環境認識

トレードを始める前に欠かせないのが「環境認識」です。
相場の大きな流れやリスク要因を把握しておくことで、その後の戦略立案リスク回避につながります。
なお、トレード前の環境認識は以下の4つの「環境」について確認していきましょう。

  • トレンドの把握
  • 相場リスクの把握
  • 通貨強弱の把握
  • ファンダメンタルズの把握

また、自分のトレードスタイル(スキャルピングやスイングトレードなど)に合った環境認識を行うことが大切です。

トレード前の環境認識については、下記の記事で詳しく解説しています。

手順②:環境認識を踏まえた戦略の立案

環境認識で相場の全体像を把握したら、次はそれをもとにトレード戦略を立てます。
戦略立案の目的は、場当たり的なトレードを避け、あらかじめシナリオを描いておくことで、感情に流されず、資金管理を中心としたトレードを行うことにあります。
ここからは、環境認識を踏まえたトレード戦略の概要を紹介していきます。
なおトレード戦略は、実際のトレードを行っていくうえで非常に重要なため、本記事の後半で代表的なトレード戦略を紹介します。

相場のトレンドを踏まえたトレード戦略

環境認識で相場のトレンドを確認したら、それをもとにトレード戦略を立てましょう。

  • 相場にトレンドが発生している場合
    相場に上昇・下降のトレンドがあると判断した場合は、トレンド方向への順張りを中心とした戦略を立てましょう。
  • レンジ相場になっている場合
    レンジ上限・下限付近での逆張りやレンジブレイク後の順張り、レンジブレイクで走った後のリバウンド狙いなどの戦略を考えましょう。

ただし相場のトレンドは、時間帯(東京市場 → ロンドン市場への切り替わりなど)やファンダメンタルズの変化など、さまざまな理由で変化していくため、相場のトレンドの変化にも注意を払いながらトレードを行いましょう。

相場リスクを踏まえたトレード戦略

環境認識で相場リスクの状況を確認したら、それをもとにトレード戦略を立てることもできます。

  • リスクオン相場
    市場参加者がリスクを好み、高いリターンを求めて積極的なトレードを行う相場。
    この状況下では、資源国通貨(豪ドル、NZドルなど)高金利通貨(メキシコペソ、南アフリカランド など ※その時の政策金利によって変わりますが積極的に取引されるため、そういった通貨ペアのトレードを検討するのも一つの手です。
    ※高金利通貨は、スプレッドが広いので、あまり短期売買向きではありません。
  • リスクオフ相場
    市場参加者がリスクを避け、安全資産へと資金を移す傾向が強い相場。
    この状況下では、安全通貨である「円(JPY)」「米ドル(USD)」「スイスフラン(CHF)」などが買われやすくなるため、これらの通貨ペアのトレードが有効的です。

なお、リスクオン・リスクオフは地政学的リスクや要人発言などで一気に反転することもあるので、常に注意が必要です。

通貨強弱を踏まえたトレード戦略

環境認識で通貨強弱を確認したら、それをもとにトレード戦略を立てることもできます。

  • 通貨強弱差の大きい通貨ペアでトレードを行う
    通貨強弱差の大きい通貨ペアはトレンドが出やすいため、トレンド方向への順張りを中心とした戦略を立てましょう。
  • 通貨強弱差が小さい通貨ペアでトレードを行う
    通貨強弱差が小さい通貨ペアはトレンドが出づらい傾向があるため、レジスタンスライン・サポートラインなどでの逆張り戦略も有効です。

基本として、通貨強弱差が大きい通貨ペアでのトレンドに乗った順張りトレードの方がやりやすいといえます。
また、通貨強弱差が小さい通貨ペアで、レジサポラインをブレイクした後の走りを狙うようなトレードはあまりおすすめしません。
理由としては、通貨強弱差が小さいためラインブレイク後あまり走らず、ダマシとなって戻ってくることが多いためです。

手順③:トレード実施

環境認識と戦略立案を終えたら、いよいよ実際のトレードに入ります。
ここで大切なのは、気分や思い付きでトレードを行うのではなく、戦略の立案時に決めたことを前提にトレードを行っていくことです。
例えば戦略立案時に、上昇トレンドが発生している相場状況だから、上昇トレンドに乗るような順張りトレードを検討していたとします。
この場合、押し目買いのトレード手法や高値更新時にロングエントリーしていくトレード手法などを行っていくことが考えられます。

なお、色々な相場状況に応じた自分のトレード手法をいくつも持っていれば、戦略立案からトレード実施までの流れがスムーズになります。
もし、自分のトレード手法をまだお持ちでない方は、下記の記事【トレード手法を確立しよう】で「自分のトレード手法の作り方」などを紹介しているので、ぜひご覧ください。

また、基本的なテクニカル分析を土台にトレードを行いたい方には、【テクニカル基礎編】で基礎的な手法を解説しています。

手順④:トレード後の振り返り、検証・改善

トレードはエントリーして決済したら完了、と思いがちですが、実はそこで終わりではありません。
本当に成果につながるのは、その後に行う振り返りです。
この振り返り作業を通じて、自分のトレード手法の検証と改善を行いましょう。
具体的な「トレード手法の検証と改善の方法」については、下記の【トレード手法を確立しよう】の記事内で詳しく解説しています。

代表的なトレード戦略

トレードで長期的な成果を上げるためには、相場に合った戦略を選ぶことが欠かせません。
ここでは、代表的なトレード戦略について紹介していきます。

トレンドフォロー戦略

トレンドフォロー戦略

トレンドフォロー戦略は、相場のトレンドに沿ってエントリーする王道の戦略です。
「Trend is your friend(トレンドは友達)」という格言があるように、世界中のトレーダーが意識している基本的かつ有効な戦略です。

レンジ戦略

レンジ戦略

レンジ戦略とは、価格が一定の範囲内を上下に動く「レンジ相場」を利用したトレード手法です。
上値(レジスタンスライン)と下値(サポートライン)の間で反発を繰り返す特徴を活かし、「下値付近でロング」「上値付近でショート」のトレードを行います。

ブレイクアウト戦略

ブレイクアウト戦略

ブレイクアウト戦略とは、価格が重要なラインやチャートパターン(レンジ、三角保ち合い、フラッグ など)を抜けた後に発生する値動きを狙うトレード手法です。
「ブレイクアウト戦略=抜けた瞬間だけのトレード」と思われがちですが、実際には複数の狙い方が存在します。

【応用・実践編】まとめ

トレードは「エントリーして決済する」だけの単純な行為ではなく、環境認識 → 戦略立案 → トレード実施 → 振り返り、検証・改善までを含めて、初めて一つのサイクルが完成します。
この一つのサイクルの中には、たくさんの知識や技術が詰め込まれています。
したがって、このサイクルを何度も繰り返すことで、自分のトレード手法が確立されていき、少しずつトレード力が向上していきます。
焦らず地道にこのサイクルを積み重ねることが、長期的な成果につながります。

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円吉えんきちナイト

焦らず一歩ずつ、積み重ねていきましょう。