一目均衡表とは?

一目均衡表は、日本の細田悟一氏が昭和初期に、7年という歳月とおよそ2,000人の人出を費やして完成させたテクニカル分析手法です。その理論は非常に複雑で奥深いものの、日本国内のみならず海外の投資家たちにも広く支持されている人気の分析ツールです。
一目均衡表を構成する3つの理論
一目均衡表は、次の3つの理論に基づいています。
時間論
時間論とは、「相場がいつ変動するのか」といった時間的側面に注目する理論であり、一目均衡表における分析の中でも特に重要な視点とされています。
この理論では、「9・17・26」が基本数値とされ、「33・42・52・65・76」などは複合数値と呼ばれます。
そして、相場はこれらの数値に対応する日数(9日、17日など)が経過するタイミングで、変化が起こりやすいと考えられています。
波動論
波動論とは、チャート上に現れる波の形状をもとに相場を読み解く分析手法であり、波のパターンは主に3種類に分類されるとされています。

【I波動】
「上げのみ」または「下げのみ」の波動

【V波動】
「上げ→下げ」または「下げ→上げ」の波動

【N波動】
「上げ→下げ→上げ」または「下げ→上げ→下げ」の波動
相場ではI波動とV波動が繰り返されながら、最終的にN波動になるとされます。
水準論
水準論は「値幅観測論」とも呼ばれ、直近のチャートの動きから次に想定される上値や下値を見極めるための分析手法です。代表的な手法としては、以下の4つが挙げられます。

【V計算値】
BからCへ下落した分の倍、Cから上昇する。

【N計算値】
AからBへ上昇した分、Cから上昇する。

【E計算値】
AからBへ上昇した分をBに乗せた価格まで、Cから上昇する。

【NT計算値】
AとCの差分だけ、Cから上昇する。
一目均衡表の見方
一目均衡表には、基準線・転換線・先行スパン1・先行スパン2・遅行スパンの5本の線が存在します。
また、先行スパン1と先行スパン2の間の領域は「雲」と呼ばれます。
これらの位置関係を分析することで、相場の様々なシグナルを読み取ることが可能です。

基準線
基準線=(26日間の最高値+26日間の最安値)÷2 |
基準線は、過去26日間の最高値と最安値の平均値を結んで描かれる線です。
これは、中期のトレンドを表し、基準線が上向きであれば上昇トレンド、下向きであれば下降トレンドを示すといわれています。
転換線
転換線=(9日間の最高値+9日間の最安値)÷2 |
転換線は、過去9日間の最高値と最安値の平均を結んだ線で、短期的な相場の方向性を示します。
先行スパン
先行スパン1=(基準線+転換線)÷2を26日間先行させたもの 先行スパン2=(52日間の最高値+52日間の最安値)÷2を26日間先行させたもの |
先行スパンには先行スパン1と先行スパン2の2種類があります。
先行スパン1は、基準線と転換線の平均値を26日先行して表示した線です。
先行スパン2は過去52日間の最高値と最安値の平均値を26日先行させて表示した線です。
先行スパン1と2の間の帯状の領域を「雲」と呼びます。
遅行スパン
遅行スパン=当日の終値を26日遅行させたもの |
遅行スパンは当日の終値を26日前に遅行させて表示した線です。遅行スパンを見ることで、当日の価格と26日前の価格を比較することができます。
一目均衡表の使い方
使用する時間足
一目均衡表を使用する際の時間足については、開発者が「日足を用いるべき」と明言しています。時間論で用いられる9、17、26といった基本数値も、日足での分析を前提として設定されています。そのため、一般的に一目均衡表を使う際は日足が用いられます。
転換線と基準線の使い方
基準線は中期のトレンドを示しており、その向きが重要です。
- 基準線が上向きの場合は上昇トレンド
- 基準線が下向きの場合は下落トレンド
基準線の向きと価格の位置はトレンドの勢いを示しています。
- 上向き基準線の上に価格がある場合は上昇の勢いが強い
- 下向き基準線の下に価格がある場合は下落の勢いが強い
転換線と基準線が交差するポイントは相場の転換の目安とされています。
- 転換線が基準線を下から上に抜けると上昇トレンド発生
- 転換線が基準線を上から下に抜けると下落トレンド発生

先行スパンの使い方
先行スパン1と先行スパン2の位置関係を確認することで、相場のトレンドを把握することが可能です。
- 2本の先行スパンのうち、先行スパン1が上にあるときは上昇トレンド
- 2本の先行スパンのうち、先行スパン2が上にあるときは下落トレンド

雲の使い方
雲と価格の位置関係を確認することで、相場のトレンドを把握することが可能です。
- 価格が雲より上にあれば上昇トレンド
- 価格が雲より下にあれば下落トレンド
また、価格が雲に突入するとトレンド転換の目安とされます。
- 価格が雲を下から上に抜けると上昇のサイン
- 価格が雲を上から下に抜けると下落のサイン
雲は抵抗帯として機能し、雲が厚いほど強い抵抗と判断されます。
さらに、2本の先行スパンが交差することを「雲のねじれ」や「先行スパンの変化日」と呼び、相場転換の目安になるといわれています。
そのため、価格が先行スパンの変化日近辺を通過する場合には注意が必要です。

遅行スパンの使い方
遅行スパンと価格の位置関係からも、相場動向を把握することが可能です。
- 遅行スパンが価格を上抜けると上昇のサイン
- 遅行スパンが価格を下抜けると下落のサイン

三役好転
下記の3つの条件が揃うことを「三役好転」といい、強い上昇サインとなります。
- 転換線が基準線を上抜ける
- 遅行スパンが価格を上抜ける
- 価格が雲を上抜ける

三役逆転
次の3つの条件が揃うことを「三役逆転」といい、強い下落サインとなります。
- 転換線が基準線を下抜ける
- 遅行スパンが価格を下抜ける
- 価格が雲を下抜ける

一目均衡表まとめ
一目均衡表は相場の流れをとらえるうえで有効なテクニカル分析といえますが、絶対ではないため過信は禁物です。
一目均衡表を使った売買を行う場合、損切り基準に達した時点でしっかりと損切りするようにしましょう。
また、誤った判断を避けるためには、他のテクニカル指標やファンダメンタルズ分析を併用し、複数の条件を照らし合わせながら総合的に判断することが大切です。

一目均衡表は、日本国内だけでなく海外の投資家からも支持されている人気の分析手法だモー。